【デザインに役立つおすすめの本】色彩心理学から考える効果的な配色テクニック

閲覧いただきありがとうございます。
iikenwebデザイン担当の梨井です。

今回は「売れる配色 目を引く商品パッケージの作り方」を読んで、個人的に印象に残った点を紹介します。

色の三原色やトーンといった基礎知識はある程度理解しているけれど、実際にデザインする時にどう扱うんだろう……って、悩んだりする事ってあると思います。

当書は配色についてより知識を深め、ワンランク上のデザインスキルを目指すデザイナーさんに特にオススメです。

人は見た色から、さまざまな感覚を連想する?

日常生活のさまざまな場面で、私たちは多くのデザインを目にします。
街を歩けば、多くのお店の看板や広告がパッと目に移り込みますよね。

さて、あなたはモノを目で見た時、最初にどんなところが目に止まりますか?

対象を見るときに、視神経は最初に色、次に形、さらに次にテクスチャーに反応する。

「売れる配色 目を引く商品パッケージの作り方」008ページより引用


なるほど、視神経が最初に色から反応することで、色がデザインにおいて重要視されている理由がよく分かります!

さらに、人が色を認識する際に視覚だけでなく、他の感覚も同時に使用しており、嗅覚、触覚、味覚などからも影響を与えると当書は解説しています。

1.色から連想される温度の変化

色から伝わる感覚って、視覚だけじゃないの?
触れてないのに温度を感じるの?
と、突然言われてもピンと来ないと思うので、具体的な例を挙げて説明します。

暖かい、冷たいといった感覚は、私たちの日常生活や経験に基づいて形成されます。
炎や太陽など熱いものは暖色であることが多く、海や氷など冷たいものは寒色であることが多いです。
そのため、赤を見ればなんとなくやけどしたり熱かった経験と結びついて熱さを感じたり。
また、寒色からは冷たい感覚が連想されるのです。

下のイラストをご覧ください。
それぞれのイラストから、どんな印象を受けますか?

左の顔イラストは高熱を出しているように見えますし、右の顔イラストは顔色が悪く、寒くて凍えているような印象を感じます。
2つのイラストはそれぞれ違う身体状態に見えますよね。
ところが実はこのイラスト、色を変えただけで全く同じイラストなんです。

日常生活でよく見かけるデザイン

日常生活でよく見かけるデザインからも、色によって温度を感じられる場面があります。
例えば、自販機の冷たい飲み物は青いボタン、温かい飲み物は赤いボタンで表示されています。

「暖色=温かいイメージ」「寒色=冷たいイメージ」といった、多くの人が共通して抱く色彩感覚を利用したデザインをされているおかげで、私たちはひと目見てそれが温かい商品なのか、冷たい商品なのか判断できるのです。

とはいえ、視覚によって与える温度差はそんなに大きくないんじゃないの?
と、思われた方もいるかもしれません。

実際に当書では、寒色と暖色ではどれくらいの温度差があるのかも調査しています。

色の温度感を調査する実験では、寒色と暖色の温度差は3℃以上あった。

「売れる配色 目を引く商品パッケージの作り方」022ページより引用

3℃以上という数値は、かなり大きい影響を与えますね。

この結果からも、デザイナーが色彩心理学を学ぶ意義があると言えます。
肌感覚だけでなく、視覚からも温度を感じるなんて人間の脳は面白いですね。

2.色から連想される味覚の違い

食べ物を目にしただけで、何となく味が連想されることってあるかと思います。

例えば、梅干を見ただけで口の中が酸っぱいように感じませんか?
う~~、なんだか想像しただけで唾液がたまってきました……。

それと同じように、色を認識した際に過去に食べた物の記憶によって味覚が連想されることがあります。

下のイラストの果物を見比べて、それぞれどんな味を想像しますか?

左の果物イラストは甘くて熟しているリンゴやミカンを想像します。
右の果物イラストは左のイラストと比較すると、まだ未熟で甘さも感じられず、酸っぱいリンゴやミカンといった印象を感じるかと思います。
ですが、こちらのイラストも実は色を変えただけで全く同じイラストです。

ただ色が変わっただけなのに、味の印象まで違うというのは驚きですね。

【写真加工】色彩心理学を応用して、味覚を伝える

上のイラストから分かる色彩心理学を応用して、リンゴの甘さを訴求したい場合にはどのような写真加工が適切か考えてみます。

熟した果物やはちみつなどの甘い食べ物は、彩度が高い暖色のものであることが多いので、リンゴの彩度を高くして赤やオレンジを強調することによって、多くの人が共通して甘いと連想しやすいです。
逆に、彩度の高い緑がかった写真加工をしてしまうと、酸っぱさが連想されてしまい兼ねないので、この場合は適切とは言い切れないでしょう。

飲食店のメニューや広告でも、より美味しそうに見えるように暖色の照明を使って撮影したり、彩度を上げたりなどの工夫をして写真加工をしていますね。
それと同時に、商品の訴求したい内容によって、効果的なアプローチでデザインをする必要があるのです。

商品パッケージであれば、商品を手に取っただけでどんな味なのか連想させなければならないですし、消費者の購買意欲を左右するうえで配色は重要な要素だといえます。

Webサイトも同じく、実際に体験する前にどんな商品、サービスなのか印象付けなければならないので効果的な配色を考える必要があります。

まとめ

色相環やトーンなどの基礎知識は一応学んだりしましたが、配色について分かってるつもりになっていた自分が恥ずかしいです。
なんとなくカラフルにしとけばポップじゃない?とか、まだまだ感覚に頼ってデザインを考えていたところがあります。

デザイナーとして必要とされるのは、なんとなくオシャレっぽく見た目を作ることではなく、課題解決のために効果的なアプローチで配色やデザインを考えることではないかと改めて実感しました。
お客様の叶えたい要望やイメージを大切にして、その先にいるお客様のターゲットに届けることが、私たちデザイナーの役目だと思っています。

当書に出会うことで、訴求したい内容がより効果的に伝わるように色を扱うためのヒントがたくさん得られて大変勉強になりました。
私自身まだまだ知らないことばかりで奥が深いな、と沼にズブズブはまっております。

この本を読んで、お客様の訴求したい内容や商品の良さが引き出せるように、配色もうまく使いこなせるようになりたいと強く感じました。

気になった方はぜひ、色彩心理学について調べてみてください。面白いですよ!

書籍のご紹介

今回ご紹介した「売れる配色 目を引く商品パッケージの作り方」では、色彩心理学を図や写真を多く使って分かりやすく解説しています。
また、世界各国の商品パッケージの紹介とともに配色の解説もされているので、実際にデザインする際に手元に置いて参考にしやすい1冊です。

ブログで紹介している内容はほんの一部です。
色彩心理学に関してより具体的に書かれているので、興味のある方はぜひ読んでみてください!

売れる配色 目を引く商品パッケージの作り方

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